2018/12/24
昨年のクリスマスに作った作品に、虎島タオさんの素敵なイラストをつけていただきました!!
クリスマスの変身TSFものとなっております。
***
「……ああ、それにしても彼女が欲しい。クリスマス・イブ。世間では恋人たちが愛を深め、幸せな一日を過ごす日だというのに俺は親友の聖也と二人、することもなく俺の家でいつものようにゲームに興じていたのだった。男二人で気兼ねなく過ごすのもいつもなら悪くはないが、今宵だけは違う。ああ……彼女が欲しい」
「太一、変なナレーションみたいことをいきなり言うのをやめてもらっていいかな?」
「え!?いま俺、声に出てた!?」
「……ああ、彼女が欲しいという切実な思いの独白だったな」
そう言うと聖也は、メガネ越しに俺の方を憐れむような目つきで見つめた。
「なっ、なんでお前がそういう目で見てくるんだよ!お前だって彼女いねーだろうが!」
「……まあ、今はそうなのだが」
彼女いない歴=年齢でもちろん童貞の俺とは違って、聖也は痩せ型のイケメンメガネ男子、といった風貌で、一部の女子からは結構な人気があるというのを耳にしたことがある。それでも、元来から真面目な性格をしている聖也は「本当に信頼できる女性としか付き合わない」とかいう理由で、過去にも俺の知る限り1人しか付き合ったことのある女の子はいないはずだった。しかも「信頼できる女性」を探しておきながら、昔から人の言うことを信じ込みやすい性格をしているから、致命的に女を見る目がなかった。唯一聖也が付き合ったその女の子はどう考えても「遊んでいる」感じの風貌で、案の定付き合って一年でその女の子が二股、いや三股していることが発覚して夏に別れたばかりだったのだった。
いや、今はそんなことはどうでもいい。俺は大きくため息をつくと、ゲームのコントローラーを放り投げてベッドに大の字に寝そべり、ジタバタと手足を動かした。
「ああ~~もう、彼女欲しい彼女欲しいよ、彼女が欲しい~~」
「駄々っ子みたいだな……。彼女を作って、何がしたいんだ?」
「贅沢は言わない……一緒にゲームやれればいい……あと……」
「……あと?」
「ちょっとオッパイ揉ませてくれるだけでいいから……」
「……」
「ああ、神様……サンタ様……一日でいいから彼女を俺にください……」
「女なら誰でもいいのか?」
「いや、できれば玲奈ちゃんみたいな感じがいい……」
佐藤玲奈ちゃん。俺達の大学の語学クラスでよく見かける女の子で、学年は1つか2つ下、といったところだろうか。いつも口元に笑みを絶やさない少し垂れ目で小動物系のほんわか系美人だ。
少しだけふんわりとカールのかかったセミロングの黒髪も魅力的だが、それよりも150センチ台の身長ながら、ニットの胸元を押し上げる2つの膨らみがクラスの男子の視線を釘付けにしていた。
俺も例外ではなく彼女の容姿に見とれていたのだが、一度彼女と目が合ったときなどは、どぎまぎしてしまった。他の女子なら気持ち悪いものを見るような目線を投げ返してこようものを、俺と目が合って恥ずかしそうにはにかむ笑顔も玲奈ちゃんの性格の良さを表しているような気がしていた。
「玲奈ちゃんか……それは高望みしすぎでは……」
「そんなことないって!この前俺に笑いかけてくれたもん!」
「……うーむ」
聖也は何か考え込んでいるようだった。時々聖也は俺に何か隠し事をしているのではないかと思うことがある。男同士の仲で水臭い。聖也はしばらく間を置いてこう言った。
「太一、すまん。用事を思い出した。今日はここで失礼する」
「……はぁっ!?ちょ、クリスマスを俺一人にする気かよ!?……はっ!さてはお前、本当は彼女がいて、これから彼女と性なる夜を迎えるのでは……」
「いや、そんなことはない……ないのだが、やはり今日はここで失礼する。……それで、お前が彼女としたいことは本当に一緒にゲームをやって、その……胸を揉むだけでいいんだな?」
「へっ?……あ、ああ……そうだよ」
「それで、玲奈ちゃんがお前の好みなんだよな?」
「そうだけど……そんなこと確認してどうするんだよ?」
「いや、聞いておくだけだ。……その願い、叶うといいな。それじゃ」
「ちょ、ちょっと!」
聖也は有無を言わさず玄関で靴をさっさと履くと、俺の引き止める声も無視して帰ってしまった。
「薄情者……あんなやつ、絶交だ……」
俺はベッドで再びうつ伏せに寝そべりながら枕を涙で濡らしていたが、いつの間にか眠ってしまったようだった。
***
「……ぱい、先輩!先輩!太一っ!」
女の子が俺を呼ぶ声で目が覚めた。いかんいかん、眠ってしまったようだ。って、女の子?
寝ぼけまなこで横を見て、俺は驚愕で目を見開いた。すぐに身を起こし、ベッドにそのまま正座する。
「れ、玲奈……いや、佐藤さん!?」
いつも遠くから見つめるだけで話しかけたことなど一度もない。玲奈ちゃん――佐藤玲奈がそこにいた。腰に手を当てて立ち、こちらを柔らかい表情で見つめている。相変わらずニットを押し上げる胸が目立つ。俺はベッドに正座しているので、目の前に玲奈ちゃんの胸があるような形になってしまった。って、距離近くないか!?
「やっと起きましたか。玲奈、でいいですよ。……先輩、って呼んでもいいですか?」
「あ、ああ……って、そうじゃない!玲奈ちゃん、どうしてここに……?」
俺はようやく玲奈ちゃんの胸に釘付けになっていた視線をはずし、疑問を口にした。
「どうしてここに、じゃありませんよ……えーっと……」
「……?」
少し考えた風な玲奈ちゃんが、今思いついたと言うように言った。
「そう!お……聖也先輩が、一人で寂しくクリスマスイブにゲームしている太一先輩を慰めてあげてって言うから来たんですよ?」
「聖也がそんなこと言ってたのか……聖也、玲奈ちゃん、ありがとう……」
俺は聖也に心から感謝した。玲奈ちゃんをどうやって言いくるめたか知らないが、二人で過ごすためにアイツは帰ってくれたんだな。しかし、はて……?
「うーん……?」
「ど、どうかしましたか……?」
玲奈ちゃんが怪訝そうに言う。
「いや、玲奈ちゃんってそういう服も着るんだね……?いつも、もっとふわふわした女の子っぽい服着てるけど……」
今の玲奈ちゃんの服は、上は暖色系のニットに、下はシンプルなグレーのタイトスカート。確かに玲奈ちゃんっぽい組み合わせだが、もう少し高級そうな服を着ていたイメージがあるのだが……今はどちらかというとシンプルさが売りの、しま○らや○ニクロで売っていそうな感じの服だ。玲奈ちゃんのスタイルだから、まあ悪く見えるわけではないのだが。
「あ、はは……そこに気づきますか……なんで彼女いない歴=年齢なのにそんな細かいところに気づくんだコイツは……」
「ん?何か言った?」
「あ!いえいえ、なんでもありません!女物の服がなくてついさっきそこで買ってきたもので」
「え、女物の服がないって……?」
「まあまあ!細かいことは気にせず~。それより、一緒にゲームでいいんでしたよね?」
玲奈ちゃんはにっこりと笑うと言った。
「へっ??」
「ほら、さっき一緒にゲームしたい、って言ってたじゃないですか」
「さっき……?言ったっけ?」
「言いましたよ~。いつも通りこれでいいですか?」
そういうと玲奈ちゃんは、俺が最近聖也とやっているゲームを手にとって言った。
「あ、ああ……じゃあやろうか。玲奈ちゃん、ゲームできるの?意外……」
「あ、あー……多分いつもはしないんですけど、今日は出来そうな気がするんですよね」
「多分……?」
俺はここに来て思い当たった。なるほど。わかったぞ。玲奈ちゃん、かなり天然……というか、変わった子なんだな。なんとなく、自分だけが玲奈ちゃんの意外な側面を知っているような気になり、俺はまんざらでもない気分になった。
***
「あっ……ちょっと、そこっ!だめっ!待って待って、あっ、死んじゃうぅっ!」
「だめだよ、待たない……ほら!」
「あぁぁ、それだけはやめて……」
「はい、また俺の勝ちだね」
玲奈ちゃんは悔しそうな顔をしてコントローラーを投げ出す。ゲームは時々は玲奈ちゃんが勝つが、流石に長年やりこんできただけあって、聖也ならともかく、玲奈ちゃんでは俺の相手にはならないようだった。
「むぅ……いつもだったら互角なのにな……この手、コントローラー持つには小さくて勝手がわからないんだよなぁ」
「え?」
「あー、こ、こっちの話です!ほら、コントローラーおっきいなと思って……」
「でも玲奈ちゃん、初めてにしてはすごい上手かったよ。どっかでこのゲームやったことあったの?」
「え!?あ、友達の家でやったことあります!これはウソじゃないです!」
そうなんだ。どおりで。と、いうか……
「玲奈ちゃん……」
「はい、なんですか?」
「い、いや、何でもない……」
また玲奈ちゃんの不思議なところを見つけてしまった。最初こそ正座してゲームをやっていた玲奈ちゃんだったが、ゲームに熱中するごとに玲奈ちゃんはあぐらをかき始めていたのだった。横から見ている分には分からないが、正面から見たら、その……下着が見えてるんじゃないだろうか。それにしてもタイトスカートであぐらはかきづらそうなのだが、クセなんだろうか?
「あっ、そうか……」
玲奈ちゃんが何かに気づいたように呟き、こちらに向き直って正座した。お、ようやく自分があぐらをかいている事に気づいたか?
「太一先輩……」
玲奈ちゃんが少し身を乗り出すようにして、大きな目で俺の顔をじっと見てきた。可愛い子にそんなに見つめられたことがない俺は、思わず気恥ずかしさから視線を逸らしてしまった。
「な、何?」
「太一先輩、私のその……オッパイ、揉んでみたいんですよね?」
「ぶっ!?」
俺は思わず鼻水を噴き出した。何を言うかと思えば。
「そ、それ誰から聞いたの……?もしかしなくても聖也が言ってたの?」
「あー、ま、まあそうですね……で、でも私、その……」
「え……何……?」
玲奈ちゃんが視線を逸らしながら言いにくそうに続ける。
「オッパイまでは私、覚悟してきましたから……揉まれること……」
「……!?」
何を言っているんだこの子は。初対面だよ。何かがおかしいぞ。……わかったぞ。
「玲奈ちゃん……」
俺は玲奈ちゃんの顔をぐっと見据えて言った。
「は、はい……」
「……聖也に何か、脅されてるのか?俺で良ければ相談に乗るよ?」
一瞬呆気にとられた顔をした玲奈ちゃんが、急に立ち上がって叫んだ。
「馬鹿野郎!俺がそんな卑劣な手を使うと思うか!!」
「えっ……玲奈ちゃん?」
「あっ……コホン……」
戸惑う俺を見て玲奈ちゃんは座り直すと、
「……えー、聖也先輩ならそう言って怒ると思いますよ、と言いたかったんです。そんなこと、されてませんよ♡」
そう言うと取って付けたように小首を傾げてにっこりと笑った。あざとい、と思いつつも全てが癒やされてしまうようだ。
「そ、そうなのか……じゃあ……」
「はい……太一先輩だから触らせるんですよ?特別ですよ?」
「は、はい……」
思わず敬語になる俺。
「ほら……」
玲奈ちゃんが、恥ずかしそうに目線を下に向けながらニットの胸を強調するように脇を締め、ぐっと突き出す。元々大きい玲奈ちゃんの胸が俺の目の前に突き出され、さらに大きく見える。ごくり、と生唾を飲み込みながら震える手を近づける俺。
ふゆん、と俺の中指が最初に玲奈ちゃんの胸に触れた。瞬間、ぴくっ、と玲奈ちゃんの身体が震える。
「ひっ……」
「ご、ごめん!大丈夫!?」
条件反射的に謝ってしまう俺。
「すまん……人に胸を触られるなんて初めてだったのでな……」
「……初めてなんだ?」
こんなに簡単に胸を揉ませるのに、意外なことを言う玲奈ちゃん。時々男言葉のようなものが出るのは、玲奈ちゃんのクセなんだろうか?しかし、俺は緊張と興奮でそれどころではなかった。今もまだ震える指先には、先ほどの玲奈ちゃんの柔らかい胸の感触が残っている。ん、柔らかい……?
「玲奈ちゃん、あの、もしかして……」
「ん、何……なんですか?」
「い、今ノーブラなの?」
「あぁ……そんなことですか……そうです、ノーブラですよ。このニットの下には何も付けてません」
「えぇ……」
あまりにも堂々とした答えに、更なる返答に窮してしまう。
「女物の服を着るまではなんとかなったんですが、流石に女物の下着を着るのは恥ずかしくて……これもこっちの話ですが」
「女物の下着を着るのは恥ずかしいことなんだ……?」
じゃあ、普段からノーブラなのか?とことん変わった子だな、と思いつつ俺はあることに気づく。
「え、じゃあ、その、下も……?」
「あー……そうですね。下も穿いてないです。女の子がトランクス穿くのもなんだか、と思いまして」
「そ、そりゃ女の子がトランクスは穿かないだろうけど」
「まあ、そんなことはいいから!ほら、もっと揉まなくていいんですか?彼女ができてゲームして、オッパイ揉むのが太一……先輩の夢だったんでしょう?好きなだけ揉むといいですよ」
そう言うと、玲奈ちゃんは俺の手を取って自分の胸にグイグイ押し付けてくる。俺の手のひらに柔らかい感触が伝わってくる。俺の中で、何かが弾けるような感触がした。
「わわっ!」
玲奈ちゃんが声をあげる。俺が玲奈ちゃんを床に押し倒したからだ。
「太一!……先輩、何するんですか!?」
「ここまで来たら決まってるだろ……?」
言いながら俺は玲奈ちゃんのニットを下からまくりあげる。想像していたとおりの大きい、そして綺麗で張りのある玲奈ちゃんの乳房が視界に入ってくる。乳首は綺麗なピンク色で、ツンと立っている。
「「うぉっ」」
俺と玲奈ちゃんが同時に声をあげる。ん、なんで玲奈ちゃんまで自分の胸を見て声をあげるんだ。
「次は下だ……」
俺は玲奈ちゃんのタイトスカートのジッパーを下ろそうとする。
「な、何をするんだ!やめろ!!」
思いがけず抵抗する玲奈ちゃん。
「男の部屋にノーブラノーパンで来て、自分からおっぱい触らせてそれで終わりになるわけないだろ……!」
「揉むだけでいいって言ってただろ!」
言い争っているうちに、玲奈ちゃんのスカートが下ろされる。言ったとおり下着は穿いていない。すなわち――玲奈ちゃんの下半身が露わになる。すらりとした脚、程よく肉の付いた太もも。肌の質感は思わず触れたくなるような、柔らかく健康的な色の肌だ。そして、その両足の付け根には――
「おお……」
俺はごくりとつばを飲む。玲奈ちゃんもなぜか自分の下半身をまじまじと見つめていたが、はっと我に返ると俺に言う。
「太一……先輩!胸は揉んでもいいです!けど、男とセックスだけは勘弁してください!お……私にそういう趣味はないんです!」
「え、玲奈ちゃん、レズなの……?」
「う……えぇい、この際そういうことで!そう、私はレズなんですぅ!女の子が好きなんです!」
そうか……意外だ。それで時折、男言葉が出るんだろうか?
「……でも、そう言われてもここまで来てしまった以上俺も引き下がれないし……」
「本当に勘弁してください!なんでもしますから!」
そう言われて俺の目がきらりと光る。
「何でも……?今、『何でもする』って言ったよね?」
「え……?は、はい……」
「じゃあ、まずそのニット……全部脱いでもらっていいかな?」
「何をする気ですか……」
「いいからいいから。なんでもするんでしょ?」
「……わかりました。でも……セックスだけは勘弁して下さいね?」
「わかってる……」
観念したようにニットを脱ぎ、生まれたままの姿になる玲奈ちゃん。言ったとおり、本当に下には何も付けていなかったようだ。
「おお……」
想像した以上に均整の取れたプロポーションと、大理石のようにシミひとつない肌に、思わず俺はため息を漏らす。俺の股間は既に最高潮まで充血しきっていた。
「……脱ぎましたよ。これで許してもらえますか?」
胸を手で隠して恥ずかしそうにしながらも、チラチラと自分の身体を盗み見るように見ている玲奈ちゃん。自分の身体など見慣れているはずなのに、そんなに気になるのだろうか。
「うん。……じゃあ、ここでオナニーしてもらえるかな?」
「へっ!???」
「セックスは諦めるよ。でもさ、オナニーしてくれれば……俺、玲奈ちゃんのその姿を見ながらイけると思うんだ……」
「ちょ、ちょちょ、ちょっと待って!!それは恥ずかしすぎる!!」
玲奈ちゃんは両手をバタバタと振りながら答えた。
「……さっき、何でもするって言ったじゃん……」
「それは言ったけど!そんなのもう実質セックスと同じようなもんだろ!」
「全然違うし!じゃあむしろセックスしてくれよ!……それに」
「……それに?」
「玲奈ちゃん、さっきから自分の身体チラチラ見てるだろ?それで俺、気づいちゃったんだ」
「……!!バレちゃったのか……」
「ああ」
玲奈ちゃんは観念したようにしゅんとなった。案の定だ。俺は勝ち誇ったように続ける。
「玲奈ちゃん、自分の身体で興奮しちゃうナルシストなんだろ?」
「……?」
「とぼけなくってもいいんだよ?別に恥ずかしいことじゃない。そのプロポーションなら、自分で興奮しちゃうのもわかるよ」
「……鈍感だと思っていたが、ここまでとは……」
「え?」
「あ、こっちの話です……それで、どうしたらいいんですか……?」
「簡単な話さ。そこに姿見があるだろう?あそこで自分の身体を見ながらオナニーするんだ」
ごくり、と玲奈ちゃんが喉を鳴らす音がする。玲奈ちゃんが答える。
「しょ、しょうがないなあ……じゃあ、この身体でオナニーしちゃおうかな……」
そう言うとのろのろと姿見の方へ向かう。
「おぉっ……これは……」
鏡に映った自分自身を見て、玲奈ちゃんは男のような表情で自分を舐め回すようにしばし見つめていた。やっぱりナルシストじゃないか。
「さあ、玲奈ちゃん。早くいつも自分でしているみたいにオナニーしてごらん?」
「いつも……自分で……」
「そう、自分で」
「とはいえ……女の子の身体でオナニーするの、初めてだからなぁ……」
「えっ」
「い、いや何でもないです!冗談ですっ!」
玲奈ちゃんはそういうと、「体育座り」のような姿勢をとり、そこから足を徐々に開いていった。
「おお……こうなっていたのか……なんか変な感じだ……んっ!」
筋に沿うようにして物珍しそうに自分の性器に指を這わせていた玲奈ちゃんだったが、快感を感じたのか、目を一瞬きゅっと閉じて身体全体をビクン、と震わせる。徐々に顔が紅潮していくのが俺からも見て取れた。
「それじゃ、俺も……」
カチャカチャとズボンを脱ぐと、早速俺は玲奈ちゃんを見ながら自分のモノを扱き出した。
「太一……先輩、見られてるのすごく恥ずかしいです……」
「玲奈ちゃん、感じてる姿可愛いから大丈夫だよ」
「ば、馬鹿野郎……」
「ほら、オナニーに集中して?」
「うう……」
言われて玲奈ちゃんは自慰行為に戻る。徐々に濡れてきたようで、自分の愛液をぬらぬらと伸ばすようにして性器をさすっている。
「こっちはどうかな……男でいうとチンコにあたるんだよな?……ひぃぁんっ!!!」
チンコ、などという言葉を玲奈ちゃんが発したことに俺は興奮してしまうが、当の玲奈ちゃん本人はクリトリスを恐る恐る触って、これまでにない快感を得たようだ。いちいち反応が初々しいのだが、本当にオナニーしたことないのだろうか?そのまま、愛液で濡れそぼった指で玲奈ちゃんはウットリした目つきでクリトリスへの刺激を続けている。本当に扇情的な光景だ。
「あぁ、ひぅっ、い、きもち、いい、よぉ……これ、つまむと……ひゃぁぁん!ぁぁん!ゃぁん!」
隣まで聞こえるのではないかと思うぐらいの甲高い声で喘ぎながらクリトリスを親指と人差し指で器用につまみ、夢中で指を動かす玲奈ちゃん。その光景に俺の興奮は最高潮まで達していた。……そうだ。俺は顔を紅潮させ、夢中になってオナニーを続ける玲奈ちゃんの後ろにあぐらをかいて座り、右手で自分のものを扱きながら左手で玲奈ちゃんのおっぱいを揉みしだいた。
「あふっ、な、なにするんだよぉっ」
「玲奈ちゃん、おっぱいは揉んでいい約束だったろ?」
「こ、このじょうきょうで、もむなんて、きいてな、あっぁあん!ゃぁぁん!」
抗議する玲奈ちゃんの乳首を少し摘むと、玲奈ちゃんは身を捩らせて快感にもだえた。それでもクリトリスを弄る指は一向に止まらない。
「どう、玲奈ちゃん、気持ちいい?」
「きもちいい、おんなのからだ、きもちいいよぉっっ、おかしくなりゅぅっ!」
「玲奈ちゃん、俺イキそうだよ……一緒にイこう?」
「いやだぁ、それは嫌ぁっ、でもおれもいきそうっ……ひぅっ……あぁぁんっ」
「ほら、鏡見てごらん」
「え、鏡……?」
玲奈ちゃんがクリトリスを弄りながら鏡をもう一度見る。そこには、目に涙をいっぱいに溜め、全身をピンク色に染めながらオナニーにふけり、後ろから男に胸を揉まれる女子大生――佐藤玲奈の痴態が映し出されていた。
「あっ、あっ、これ、おれなの、れなちゃん、れなちゃん、イく、イッちゃうぅぅぅっっっ!」
まるで放たれる前の弓のように玲奈ちゃんの身体がえび反りになると、ビクッ、ビクッと自分の名前を呼びながら玲奈ちゃんは絶頂を迎えた。それを見た俺も、ほぼ同時に精液を――玲奈ちゃんの背中に向けてぶちまけたのだった。
***
「太一、本当に最悪だよ……もう二度と来ないからな」
シャワーを浴び、服を着ると玲奈ちゃんは頬を膨らませながらそう言った。絶頂を迎えた後、しばらく起き上がることもできずに余韻に浸っていた玲奈ちゃんだったが、背中に精液をかけられていたことを知ると激怒しながらシャワーに入ったのだった。
「ごめんって……でも、気持ちよさそうだったじゃん……玲奈ちゃんも」
それに、俺のこと「先輩」じゃなく「太一」って、名前呼びになってるしな。これは脈アリなんじゃないかな?
「それでも最初はゲームして胸を触るって約束だっただろ!帰る!」
「ま、待って!また会えるかな?」
「あー……それについて言っとくと、もし『私』に学校で話しかけて、今日のこと喋っても私はとぼけますからね、そしてもう一生先輩と関わることはないですから!」
「つまり、これは二人だけの秘密……?」
「ふ、二人だけどころか、『私本人』も今日のことは忘れますから!絶対にしゃべらないでくださいね!」
「わ、わかったよ……」
「それじゃ!」
玄関口へ向かう玲奈ちゃん。それを追って見送る俺。閉まるドア。
「ぎゃっ!」
悲鳴のような声が聞こえて、思わずドアを開けると、玲奈ちゃんが玄関先で盛大に転んでいた。どうやら、ハイヒールでバランスを崩して転んだらしい。
「玲奈ちゃん、大丈夫……」
「だ、大丈夫ですから!お気になさらず!」
ヨチヨチとした足取りで生まれたての仔鹿のように歩く姿はとても大丈夫とは思えなかった。高いヒールを履くのに、慣れていないのだろうか……。女の子なのに?そう思いながら俺はドアを閉めると、玲奈ちゃんの痴態を思い出し、何回か抜くうちにいつしか眠ってしまった。
***
「……と、いうことがあったんだよ。聖也、なんで顔を覆ってるんだ?」
年末。年越し。俺はいつもの歌番組を見ながら、聖也にあの日あったことを語っていた。
「……いや、何でもない。良かったじゃないか……」
なぜか聖也はあの夜あった話をしても終始仏頂面、玲奈ちゃんのオナニーシーンの話をしても顔を赤らめるばかりだ。
「聖也、もしかして俺に嫉妬してるのか……?」
「するか!馬鹿!」
「まあいいや。それで、学校で玲奈ちゃんに会った時、不思議な事に気づいたんだよ」
「ふ、不思議なこと?玲奈ちゃんに何か話したのか?」
「いや、普通にあの時より高いヒール履いててさ。別に転んでなかったから、『ハイヒール履くの慣れたんだね?』って声かけたんだ」
「……玲奈ちゃんは何か言ってたか?」
「不思議そうな顔して、首を傾げちゃってさ。あの時言ってたとおり、あの日のことは忘れたことにしたいんだろうなぁ」
「……そりゃそうだろうな」
「でも、また来年のクリスマスも来てくれそうだぞ?」
「えっ」
「俺がさ、『お世話になりました。来年もよろしく!』って言ったらさ、ニッコリして、『こちらこそ。来年もよろしくお願いしますね』って言ってくれたんだよ!」
「……いや、多分それは違う意味だと思うぞ……」
「そんなこと聖也には分かんないだろ!あの時の玲奈ちゃんはエロくてさあ……」
「だからその話はやめろ!!」
また今年も、暮れていく。